2013年8月28日水曜日

ハミウリのころ





























永遠に続くような気がした暑さも、高熱が下がるようにだいぶ落ちついた感じ。初めて聴いたときには工事の音?と思うほどに空気を割っていた蝉の声が、いつしかアブラゼミの種類の鳴き声にとって変わり、じき秋の虫の音になっていた。夏の終わりの寂しさをちょっと感じたのは日本と同じ。スイカ、終わってしまうのかしら…と思ったら一層なごり惜しい。

トロピカルフルーツやスイカを、たくさん食べた夏。こんなにたくさん食べたのは、生まれて初めて。スイカは丸ごと買ってスイカジュースにしてみたりも。このところ出て来たのはハミウリで、新疆が産地だそう。とっても大きくて、オレンジ色のマスクメロンのような味わい。夏の終わり頃からが旬で出回る。店には中秋の文字が目立つようになり、月餅もあちこちにいっぱい。秋の気配が少しづつ色こくなる。

まだ一月ほどなのに、もう数ヶ月が過ぎたような感じ。すべてのことに試行錯誤で、食もしかり。先日は、ハムを作る手順を作文してお店の人に尋ねたら、よっしゃーとばかりに、奥から脚の部分を一本出してきた。ちょっとびっくり…これってボンレスハムにするときの腿?かも…ロースの部位とともに、ともかくトライ。いつもどうりに出来上がりほっ…と。 他の素材もさまざまで、小豆なども豊富で手軽。思うよりもずっとよく炊けて、餡がおいしい。

ハムは薫製の前にボイル67度キープ…これはたぶん世界共通。そして、この夏は、サンルームにほっておくだけでヨーグルトが簡単にできたり、パンの発酵もそこに少し放置すればお手軽…暑さも意外なところで活用できた。

食のことでは実際、都市伝説まがいの話や問題もあり、たぶんなによりも習慣の違いによるところが、すべての違いにも関わっていることに気がつく。民族の個性や調理方法などなど。 さまざまな食材が手に入るということだけでも、恵まれているのかな…色々な人の話を聞きながら、そんな風にも思う。



天地始粛のころ

















































中国の伝統的な建物が立ち並ぶ豫園を初めて訪れたのは先月。跳ね上がったひげのような屋根のカーブや、そこに並び立つ馬のような動物の飾りが可愛らしくて、上ばかり眺め歩く。蓮が濃いピンクの花を咲かせていた頃で、お湯の中を歩くようなリアル上海の暑さ。小龍包で有名な店で手のひら大の特製食べながら一息ついた。

街の眺めは"上海環珠金融中心"の展望階から。492mという超高層ビルは下から見上げると空の中へと吸い込まれるように湾曲してみえる。その100階に近い展望階から眺めは、高層ビルの林立に圧倒される。上海のランドマーク、東方明珠塔はなんだかマンガチックと思っていたけれど、こうして観ると丸とピンクの可愛らしさやキラキラ感が、この街の風景にとても良く合っている感じ。これだけ高層の建物郡にどれだけの人々がいるのだう…まだ想像がしきれない。





2013年6月26日水曜日

夏至のころ











































































上海の日々が慌ただしく過ぎて、頭の中とりとめない。川面に散らばる葉っぱのように、浮いて沈んでゆらゆら、彼方へ勢いよく流れ、また彼方では渦巻く水の一所に留まり身を任せくるくる回る…葉っぱ一枚一枚、思いあちこち。

新しい土地でのカルチャーショックは、今回もまた強力。自身の無知や思い込みに、あらためてびっくり。ここも、ものすごい勢いで変化をし続ける国、街。圧倒的な広大さ、数多の人々、多様な姿。新旧の交錯や貧富の開き。均質でないことへの違和感と、均質でないからこそのダイナミックな圧倒感。それらが混ざり合い生み出す熱やひずみのようなものにも吸い込まれてしまいそう。初めてのメインランド・チャイナ、初めての上海。

未知に触れる不安やそこへ入り込む心細さ、億劫をなんとか振り払いながら、馴染むように努めて生活し仕事をし、学び…多くの国のたくさんの人々のそんな姿がここにもあり、すごいなと思う。少し勇気もらう。

街に足を踏み出して、早々に方角見失う。言葉のほぼ通じない中に放り込まれた感じ。地図上にも漢字がひしめきごちゃごちゃ。スマホが上手く使いきれない…しばらく途方にくれ、通りすがりの人々に道を訪ねる。頭に残る数個ばかりのチャイニーズに英単語が混じり、最後は身振り手振りやら、自分でも呆れちゃう…なのに皆意外なほどに根気よくおしえてくれて、恐縮…なんだか少し安心。 

日本にみる大方のブランドショップ、飲食チェーン店などなど…商業地区だけみれば、ここはいったいどこの国?とわからなくなる。なんというか、アジア的というよりアメリカ的な感じも。国営はじめTVにながれるニュースの雰囲気やキャスターの感じ…とてもCNNぽいと思う。アップル社の大きなwhite appleの白光が街中に目立って放たれ、朝に夕に渋滞気味の道路には、ヨーロッパ車がなんとも多い。そういえば、欧米の映画が日本より早く公開されていたり。IKEAもカルフールもすべてが生活圏内で思う以上に何でもある。メトロも縦横に走りやはり便利で、駅構内などとても広い。タクシーもメトロのカードが使えて便利。日本でもpasumoなどのカードがタクシーで使えるようになったのは、最近と思うけれど。

上海はきっと特別…その中に観る違いにも、しばらくは慣れず混乱しそう。そして50こえるという少数民族もまた特別で、地方はまたそれぞれに特別で…全部なんてどうとらえてよいのかわからない…とらえられないし談じられない…かも。そういうのが少しわかる気もした。
二元論によらず、また概念にもよらずに直接つかむこと…それが般若というものです…そう解いた本をたまたま飛行機の中で読んで、ああそうね、と思う。そんなふうにこの街に国に直接ふれて、つかめたら…色々な思い抱きながらいつか何か納得できたらいいな。まだふわふわした頭の中で、そう思う。




2013年5月23日木曜日

蚕起きて桑を食うころ
















  


                    

                              


                                                            
















今朝の薔薇たち。東西や南北それぞれの位置で今が旬。 一斉に咲く蔓バラが皆こちらを向き賑やかさに圧倒されそう。 木立性の薔薇は花が開くたび、色の意外をいつも思う。もしかしたらその年によって色味も少しづつ変わるのかも。土や雨量肥料や声掛けなどなど。華やかに咲く花も強いようでデリケートと思う。夕べの水やりは、花々がぼんやり暗がりに浮かび、時間もおぼろな異空間。薔薇に囲まれ大好きな不思議だった。小さく可愛らしい白いクレマチスとアイスバーグ、それと名前を忘れてしまったマムの一種は、玄関先に今とても気に入っている白の三重奏。                                   

2013年5月10日金曜日

みみず出ずるころ
















































今日のバラたち。カットした枝を手に受けとれば、じきフワリとした芳香。それぞれユニークで楽しませてくれる…しばらく会えないな−と思うと切ないけれど。
蔓を一気にのばしたジャスミンは、朝の陽にピンクに染まりより一層のボリューム感。これも移植した苗がほんとうに大きく育ちあらためて感嘆。 

新月の昨夜、ここからも空の星々が案外しっかり写る。一緒におさまったのはピンクの蔓バラ。射手座流星群のほうは先月の道志村にて。やはり…夜の黒さ濃さ加減はこことの比ではないかんじ。星々が果てなく広がる。


2013年5月2日木曜日

八十八夜の頃



































 今日は空が明るい水色で、新緑にとても似合う。若鳥たちが朝からしきりに枝や葡萄棚にやってくる。ジャスミンの強い香り漂う中、鳥はむせてしまわないのかしらんと思ったり、そういえば鳥の嗅覚ってどれほどなのだろう…とあらためて思う。
路地のジャスミンは室内咲きより蕾みが赤く濃く、今が盛り。バラの中では黄色い木立とピンクの蔓バラが一番に咲き出す。チェリーセージやミント、ラベンダーなどハーブ類もあちこちに開花し、球根や宿根草は思いがけないほどボリューム増して姿現し花をつける。この時期だけのサプライズ。植え付けた場所を忘れてしまうのも、わるくないかな…とちょっと思えてしまう。挿し木した鶯神楽が大きくなり、鉢から地面に移植する。数年前のあのか細い一本の枝想いだすと、これもびっくりするような生育。柔らか気な新緑はやはりきれい。



2013年4月26日金曜日

霜止み稲出ずころ






























今月の新月の日。道志村の夜空は黒々と、その名のとうり白濁としたミルキーウェイが割って流れる。赤いのはオリオン座42星雲、そしてオレンジがかった地上の雲。その距離差1600光年だそう。今からそのくらいの時間さかのばれば、たぶんイースター島ではモアイ像が建てられた頃で、ヨーロッパは中世の入り口…教会音楽の最初のころ。グレゴリオ聖歌から今にいたるまで、音楽も絶え間なくこうして広く流れている。星の時間のように音も果てしなく自由…たくさんのことおしえていただいた。先週の弦楽アンサンブルも反省しきり…でもなによりご一緒できて嬉しかった。Faureの曲も大切にして伝えられるよう、そして音を楽しみたい。